2021年05月19日

プラスチック繊維の服が原因の環境問題について考えてみた。

近年、プラスチック繊維から生成された服が環境を破壊していると懸念されています。
プラスチック繊維から作られた衣類は、耐久性が高い点やしわになりにくい点、安価である点など多くのメリットがあります。反対に環境破壊に繋がってしまうというデメリットが存在するのも事実です。
プラスチック繊維から生じる環境破壊を防ぐためにも、服から生じるマイクロプラスチックが与える影響を理解する必要があります。
この記事ではそのマイクロプラスチックが引き起こす環境破壊について詳しく紹介します。

服から生じるマイクロプラスチックとは?

マイクロプラスチックとは、プラスチックが粉砕され直径5ミリメートル以下に小さくなったものを指します。非常に小さいマイクロプラスチックですが、自然分解されないことから、半永久的にゴミとして残ってしまいます。そのため、マイクロプラスチックによる環境破壊が問題視されています。
また、マイクロプラスチックには「一次マイクロプラスチック」と「二次マイクロプラスチック」の2種類があり、発生源の違いから区別されます。

一次マイクロプラスチック

一次マイクロプラスチックとは、簡単に定義すると「元々小さかったプラスチック」です。
一次マイクロプラスチックは、主に歯磨き粉や洗顔料に含まれており、小さなプラスチック原料のことをいいます。
また、身近にあるようなプラスチックの原料である「レジンペット」も含まれます。
近年では、生物への悪影響を及ぼす危険性から一次マイクロプラスチックが問題視されています。
一次マイクロプラスチックは、下水処理を通り抜けて海に放出されてしまうことから、海洋生物の食物連鎖を壊してしまいます。
自然環境に流出した極小の物質を回収することは不可能に近いです。新たな流入を防ぐ対策が必要になっています。

二次マイクロプラスチック

二次マイクロプラスチックは主にプラスチックの小さな破片を指します。
二次マイクロプラスチックは海洋に多く流出しており、プラスチック製品が劣化することによって発生します。
元々は大きなプラスチックが、自然環境の中で紫外線や衝突などの外的要因から細分化され、小さな破片となりマイクロ化します。
しかし、マイクロ化するには数年以上かかると言われているため、マイクロ化する前に回収することが重要です。

マイクロプラスチックと服の関連性

マイクロプラスチックについて理解できたところで、本題の“服とマイクロプラスチック“の関連性について考えてみます。

技術の発達により、プラスチックの繊維から作られた服が多く販売されています。例えばポリエステルやポリウレタン、アクリル、ナイロンなどの繊維が当てはまります。
それらの繊維から作られた服を洗濯することによって、細かい繊維(マイクロプラスチック)が下水処理場をすり抜け、海へ流れだしてしまうのです。
海洋に浮遊しているマイクロプラスチックの大半が、洗濯から生じたものだといわれています。

マイクロプラスチックが環境に与える影響

マイクロプラスチックは環境に悪影響を与えているといわれています。では、いったいどのような悪影響を与えているのでしょうか。
マイクロプラスチックによる悪影響は大きく分けて3つあります。

海の生態系の破壊

海に流れたマイクロプラスチックが海洋生物の体内に入り込み、海の生態系を壊すという悪影響を与えています。
最近、マイクロプラスチックを取り込んだ魚たちが餓死するというニュースが報道されています。海中にあるマイクロプラスチックが胃の中に取り込まれ、消化しきれずに体内に残留してしきます。するとどんどんとマイクロプラスチックが溜まっていくことで消化器官がパンパンになり、空腹を感じることができずに餓死してしまうのです。
また魚だけでなく、サンゴやプランクトンもマイクロプラスチックの被害にあっており、これらの生き物たちもマイクロプラスチックを体内に取り込んでしまい消化しきれず餓死してしまうのです。

漁業や養殖業への悪影響

マイクロプラスチックが及ぼす海の生態系の破壊は漁業や養殖業にも影響があります。魚たちの餓死によって漁獲量が減ったり、大きなプラスチックごみが網に引っかかるというような問題が生じています。

観光業への悪影響

大きなプラスチックごみが観光業に悪影響を及ぼしています。海水浴やマリンアクティビティをするために来る観光客は綺麗な海を求めています。プラスチックごみで溢れた海に観光客は寄り付きません。実際、プラスチックごみにより観光業に莫大な損失が出ていると推定されています。

マイクロプラスチックが引き起こす人体への影響

海洋生物に悪影響をもたらすマイクロプラスチックは、人体に悪影響を与えるのでしょうか。

その答えはまだはっきり解明されいません。しかし、人間はマイクロプラスチックを取り込んだ魚たちを食べることで、人体へ入り込み蓄積しています。一説では、免疫力の低下やホルモン異常を引き起こす可能性があるといわれており、細心の注意をはらう必要があるでしょう。

服の洗濯から発生するマイクロプラスチックの対策

マイクロプラスチックの流出を防ぐためにも私たちができる取り組みがあります。地球の未来のためにも一人一人の行動が重要です。ここでは、取り組みやすいマイクロプラスチックの流出対策を紹介します。

洗濯ネットを活用した対策

マイクロプラスチックの流出をかなり抑えることができる洗濯ネットが近年販売されています。小さな工夫ですが、多くの人が心がけることで洗濯によるマイクロプラスチックの流失をかなり抑えることができるでしょう。

天然素材の服を着る

プラスチック繊維の服を選ばずに自然素材から作られた服を購入すると、マイクロプラスチックの流出をゼロにすることができます。コットンや麻、リネンなどがおすすめです。

海洋プラスチックをリサイクルして作られた服

海洋プラスチックをリサイクルして作られた服が最近注目されています。海や海岸に捨てられた海洋プラスチックを回収し、再生繊維に生まれ変わらせる取り組みが行われています。その再生繊維からバッグや靴などの服が作られています。
未使用のプラスチックの削減、海洋プラスチックの活用を目標に目指しています。

まとめ

マイクロプラスチックの環境問題は、年々悪化しているのが現状です。問題解決のためにも一人一人の行動がカギとなります。私たちが取り組める行動で海の生態系、地球の未来を守りましょう。

 

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