2021年05月11日

近年注目を集めるサスティナブルとは?サスティナブルファッションと歴史を解説

最近「サスティナブル」という言葉をよく目にしませんか。テレビや雑誌などでもたびたび特集が組まれ、知名度は上がってきていますが、具体的に何のことなのかいまいち分からないという方が多いかもしれません。
そこで、今回はサスティナブルについてその意味やサスティナブルな暮らしを実現するための取り組みについて紹介します。

サスティナブルの意味とは?

サスティナブル(Sustainable)は、英語のsustain(持続する)とable(可能)を組み合わせた言葉です。「持続可能」を表す言葉であり、「サスティナブルな地球環境」や「サスティナブルな経済活動」といった文脈で使われることがあります。

20世紀後半から、温暖化や水質・大気汚染など様々な環境問題が表出してきました。その原因の多くは、私たち人類の活動によるものだということも分かり、「サスティナブル」への注目が集まることになりました。
いま世界では、環境を破壊することなく、未来の世代に負債を残さないような社会を実現するための様々な取り組みが始まっています。

サスティナブルの歴史

1972年にローマ・クラブが発表したレポートは、世界中に衝撃を与えました。その内容は、このままのスピードで人口増加や経済成長が続けば、人類は環境汚染や食糧不足などにより100年以内に破滅するという人類の成長の限界を示すものでした。
このレポートは環境保全への意識の芽生えのきっかけになり、国境を超えた対策会議なども開かれるようになったのです。

そしてサスティナブルという概念がはじめて取り上げられたのは、1987年の「環境と開発に関する世界委員会」において公表された報告書「Our Common Future」においてでした。持続可能な開発という目標を掲げ、環境保全を考慮した開発を目指すべきだという考えを根底にもちます。
この発表をきっかけにサスティナブルという言葉は広く浸透していったのです。

サスティナブルという言葉がメジャーになっていく過程で様々な言葉が生まれました。例えば、「LOHAS(Lifestyle of Health and Sustainability)」は健康のためのサスティナブルな生活を意味します。

ファッションとサスティナブル

サスティナブルへの取り組みが特に話題になっているのが、アパレル業界です。アパレル業界は、石油産業に次ぐ世界第2位の環境汚染産業として紹介されています。また、ファストファッションやプチプラなどの流行による衣類の流通量増加に伴い、廃棄量も増加しています。上記の2点だけ考慮しても、アパレル業界のサスティナブルへの対応は、環境問題への対応のために必要不可欠です。

衣服に使う動物の皮や毛の廃棄も問題になっています。様々なアイテムに使用される動物は地球の貴重な資源です。今のままのペースで消費することで、生態系自体にもダメージを与えるかもしれません。私たちの便利な暮らしのために絶滅した生き物が過去に何種もいたことを忘れてはいけません。
そのような観点からも、サスティナブルな素材を使っていくことが大切です。

関連記事 アパレル業界において、企業が実践するサスティナブルな取り組みとは。

サスティナブルアイテムのすすめ

服や小物を選ぶときにどんな観点で選びますか?デザインや機能性から選ぶのもよいですが、サスティナブルなものを、という観点で選んでみてもよいかもしれません。サスティナブルファッションという言葉があるほど、今ファッション業界ではサスティナブルアイテムへの関心が高くなっています。
服や小物を選ぶときに、サスティナブルという選択肢が増えていることは素敵ではないでしょうか。

サスティナブルファッションの定義

では、何をもってサスティナブルファッションと呼べるのでしょうか。環境に優しい服とはなにかという明確な定義はありませんが、いくつかの具体例を紹介します。

再生可能な素材でできたもの

化学繊維の服が廃棄されることによるプラスチックごみの問題は年々深刻になっています。そこで、再生可能な素材から作られるアイテムに注目が集まています。
例えば、ペットボトルなどから作られる再生ポリエステル素材のものや植物系の再生レーヨンやキュプラが挙げらます。

生産の過程に透明性を持っている

以前から衣服を作る工場の環境については議論がかわされてきました。多くのアパレル企業が低コストでの生産を追求した結果、人件費の削減につながりました。工場で働く労働者の待遇の改善はアパレル業界の課題の一つです。適切な環境で服が作られることは持続可能な生産につながります。そこで、どのように衣服が生産されているのかをしっかりと公表している工場で作られた衣服がサスティナブルファッションといえます。

SDGs、サスティナブルな暮らしを実現するための17の目標

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで国連加盟国193カ国が、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標のことを言います。SDGs(持続可能な開発目標)は、Sustainable(持続可能な)と Development(開発)、 Goals(目標)の3つの英単語から構成された略語です。
この国際目標は、17の目標と169のターゲットで構成されています。発展途上国から先進国まで取り組む目標であり、日本でも積極的に取り組まれています。

そんなSDGsの17の目標とその説明を下にまとめて記載します。

【目標①】貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

【目標②】飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

【目標③】全ての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人の健康な生活を確保し、福祉を推進する

【目標④】質の高い教育をみんなに
全ての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

【目標⑤】ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダーの平等を達成し、全ての女性を女児のエンパワーメントを図る

【目標⑥】安全な水とトイレを世界中に
全ての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

【目標⑦】エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
全ての人に手頃で信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

【目標⑧】働きがいも、経済成長も
全ての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済状況、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する

【目標⑨】産業と技術革新の基盤をつくろう
強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る

【目標⑩】人や国の不平等をなくそう
国内および国家間の格差を是正する

【目標⑪】住み続けられるまちづくりを
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする

【目標⑫】つくる責任、つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する

【目標⑬】気候変動に具体的な対策を
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

【目標⑭】海の豊かさを守ろう
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

【目標⑮】陸の豊かさを守ろう
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

【目標⑯】平和と公正をすべての人に
持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、全ての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任のある包摂的な制度を構築する

【目標⑰】パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

これらの目標を見てみると、発展途上国で生じている問題だけでなく、先進国の経済成長やエネルギー、環境問題に対しても密接に関係しています。
1人1人がこれらの目標に対して意識することで、解決に繋がっていくのではないでしょうか。

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サスティナブルな素材への転換

サスティナブルという概念が広まってから、企業の多くはサスティナブルな商品を販売する傾向が高まってきました。企業がサスティナブルな商品を売り出すにあたって、従来の素材とは異なるサスティナブルな素材へと転換しています。

具体例の一つとして近年ストローや包装材料が、紙や性分解性プラスチックへと転換する取り組みがされています。皆さんの中でも実際に、このような取り組みを見かけたことがある方が多いのではないでしょうか。

注目されているサスティナブルな素材

多くの企業がサスティナブルな素材へと転換する取り組みを行っております。その中で、注目されているサスティナブルな素材があります。それらの素材は、石油に頼らなかったり、廃棄物から作られるといった興味深い特徴があります。
そこで近年注目されているサスティナブルな素材について紹介します。

地球にも身体にも良いオーガニックコットン

近年、コットンのなかでもオーガニックコットンという素材が注目されています。オーガニックとは有機という意味であるため、オーガニックコットンは化学肥料や農薬に頼らずに作られたコットンのことを指します。

オーガニックコットンのメリットの1つ目に、地球に優しいという点に挙げられます。オーガニックコットンは化学肥料や農薬を使用せずに栽培しているため、土壌や水質を汚染する心配がありません。そのため、普通のコットンより地球への負担がかからないといえます。
メリットの2つ目に、人間の身体に悪影響を及ぼさないという点が挙げられます。オーガニックコットンの栽培規約に、栽培農家の方の健康や安全に関して記されています。そのため、オーガニックコットンを栽培している農家の方の健康に優しいといえます。

廃棄されたリンゴから作るアップルレザー

合成皮革や人工皮革といった石油系樹脂から作られたフェイクレザー以外にも、植物由来のフェイクレザーが存在します。植物由来のフェイクレザーは、石油系樹脂をあまり使用しないため地球に優しいサスティナブルな素材であるといえます。
植物由来のフェイクレザーの中でも、廃棄されたリンゴから作るアップルレザーが注目されています。表面上の樹脂にリンゴを粉末状にしたものを加えることで、アップルレザーを作ることができます。
アップルレザーは他のフェイクレザーより通気性が優れている点や、色落ちしにくいという特徴があります。

成長を始めたサスティナブルビジネス

近年、サスティナブルビジネスという新時代のビジネスモデルが現れ始めました。持続可能な社会を構築するために、環境や社会問題に配慮した商品やサービスを提供するビジネスモデルのことです。具体的に、環境に配慮した材料を使ったり、貧困などの社会問題を解決するビジネスを展開しています。

サスティナブルな暮らしを実現するために何をする?

サスティナブルな暮らしを実現するために、私たちが取り組むことができる行動がいくつかあります。しかし、サスティナブルな暮らしを実践したいと思っても何を行えばいいのか分からない方が多いのではないでしょうか。
答えは簡単で、地球に優しい活動を行えばいいのです。
具体的に、ペットボトルの量を抑えるためにマイボトルを持ち運ぶことやものを長く使うこと、エコバックを持参すること、資源をリサイクルすることが挙げられます。
未来の地球を守るためにもサスティナブルな暮らしを実践してみてはいかがでしょうか。

まとめ

近年、地球温暖化や森林の減少、海洋汚染など様々な環境問題が見受けられます。人間による環境破壊が深刻になってきたからこそ「サスティナブル」というワードが注目されてきました。
地球の未来を守るために一人一人が、意識して行動することが重要です。今一度、今までの行動や生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

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