2021年04月22日

アパレル業界におけるSDGsとは?SDGsに取り組む企業の事例を紹介します。

近年、「アパレル業界の環境・労働問題」が話題になっています。そこで今回は、アパレル業界が抱える環境・労働問題とアパレル業界の環境・労働問題への取り組みについてSDGs の観点から紹介します。

そもそもSDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals/ 持続可能な開発目標)とは一言で言えば、暮らしを継続するための目標です。SDGsは2015年9月に国連の総会で採択され持続可能な世界を実現するための17つのゴールが設けられて以来、世界全体で教育やジェンダー、環境汚染などの地球規模の課題の解決に向けて取り組んでいます。

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」ファッション業界におけるSDGsとは?

近年、大量生産・大量消費が大きな問題になっているアパレル業界に対して最も関連のあるSDGsは、目標12の「つくる責任・つかう責任」ではないでしょうか。しかし、ファッション業界の問題に関連しているSDGsはこれだけではありません。ここではさらに2つのSDGs を紹介します。

1つ目のアパレル業界に関連したSDGsは目標1の「貧困をなくそう」です。「貧困をなくそう」は近年問題になっているファストファッションの労働環境問題に深く関連しています。

2つ目のアパレル業界に関連したSDGsは目標15の「陸の豊かさも守ろう」です。「陸の豊かさも守ろう」はアパレル業界の環境破壊問題に関連しています。

「アパレル廃棄ゼロへ」アパレル業界や消費者が取り組むSDGs

アパレル業界に最も関連するSDGs の目標12「つくる責任・つかう責任」を達成するために、我々が協力できることがあります。服を選ぶときは、それが本当に必要な物であるのか考えて必要な分だけ無駄なく購入します。もし身の回りに着られなくなった服があるなら、その服を必要としている他の人にあげるといった取り組みも必要です。
また、目標1「貧困をなくそう」に関連した取り組みも行われています。ファストファッション業界の裁縫工場で働いている労働者は長時間過酷な環境下で働かされ、しばしば身体的虐待によって危険な目にあっています。こういった労働問題が解決できれば、SDGs の目標1の「貧困をなくそう」を達成することができます。この問題解決のための取り組みとしては「我々消費者がトレンドのファッションを追わない」「ファッションレンタルサービスを利用する」などが挙げられます。
また、環境破壊に関連した目標15の「陸の豊かさも守ろう」に対する取り組みもあります。アパレル業界における環境破壊は服の素材が関係していると言われています。服の素材である綿花の栽培には大量の農薬が使用されています。この農薬が環境破壊を誘発している可能性があります。この問題解決のためにアパレル業界は綿花栽培をオーガニックな綿花栽培に移行することを促進しています。

「エコファッション」ファストファッション業界がSDGsにおいて果たす役割とは?

アパレル業界の中でもファストファッション業界は特に環境破壊問題や労働問題などの問題を抱えています。このような問題を解決する
ために、ファストファッション業界も様々な対策をとっています。具体的には本来廃棄するはずの服を使って新たな服を作ったり、服の素材を環境に優しい素材に変更したりするなどが挙げられます。次の章でSDGs に取り組んでいるアパレル企業一覧を紹介して、より具体的な対策について紹介します。

SDGsに取り組むアパレル企業一覧

「H&M」

H&Mグループは服の素材にこだわり、よりサステイナブルなコットンの素材を使うことに尽力してきました。その成果として、サステイナブル・コットンのランキングで第3位に選ばれました。コットンはH&Mグループが製品のために最も多く調達する繊維です。H&Mグループは2030年までに全ての素材をリサイクルして、よりサステイナブルな方法で調達されたものに切り替え、今よりもサステイナブルなコットンに投資することを目標にしています。

「ユニクロ」

ユニクロを展開するファーストリテイリングは「よい服をつくり、よい服を売ることで、世界をよい方向へ変えていくことができる」と考えています。また、ファーストリテイリングはSDGsの中の環境分野における5つの注力領域(気候変動への対応、エネルギー効率の向上、水資源の管理、化学物質の管理、廃棄物削減と資源効率の向上)で環境問題の解決に取り組んでいます。
実際の環境負荷を考慮した商品開発の具体例としては「RE.UNIQLO」が挙げられます。「RE.UNIQLO」は服から服へのリサイクルを目指し、ユニクロは全商品をリサイクル、リユースする取り組みです。

「URBAN RESEARCH」

アーバンリサーチは国際社会の一員として、積極的にSDGsを支援しています。中でも、「C」から始まる3つのテーマを中心にアパレル業界視点で個性を生かした取組を行っています。3つのテーマについては以下で記載しています。

①衣類資源の有効活用/Clothing Innovation
1.サステナブル素材の活用
2.生産量の適正化
3.アップサイクルの推進

②地球環境負荷の軽減/Clean Earth
1.従業員の環境に対する意識の向上
2.環境問題に対するお客様との価値共感
3.環境に優しいオフィスづくり

③コミュニティの形成/Community Building
1.地域の技術や特産品を生かしたモノづくり
2.異業種や自治体・NPOなど多様なビジネスパートナーシップ
3.人々が集まり価値を共有できる場所づくり

まとめ

近年、話題になっているSDGs はアパレル業界でも重要な考え方です。
アパレル業界だけが環境・労働問題の解決に取り組むのではなくて、我々消費者も服を大事に永く使って、使えなくなった服はリサイクルするといった取り組みを1人1人が確実に行うことが重要です。アパレル業界の環境・労働問題が話題になっているこの機会に、世界全体でアパレル業界の環境問題、労働問題解決に向けて取り組むべきではないでしょうか。

 

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