アパレル企業が実践するリサイクルの取り組みとは。
環境問題が懸念されている今、サスティナブル(持続可能)な社会づくりを意識した取り組みを様々な企業が行っています。その中でもアパレル業界は、ファッションロスが多く、廃棄される衣服は莫大な量になります。ファッションロスの問題解決のため、衣類のリサイクルをする取り組みが行われています。
ではアパレル企業はどのようなリサイクルの取り組みをしているのでしょうか。
この記事では、アパレル企業のリサイクルの現状や我々も取り組むことができるリサイクルの取り組みなど、詳しく解説します。
アパレル業界のリサイクルの現状
現在アパレル業界では、リサイクルの取り組みが実践されていますが、現状は深刻だといわれています。実際リサイクルされている衣服は2割も満たしておらず、残りは焼却や埋め立てに利用されています。これは古紙やペットボトルのリサイクル率より低く、ずいぶん低い数値です。また、リサイクルされた衣類のうちの大半がマットレスの詰め物や断熱材として利用され、再度服として生まれ変わっている衣類は1%も満たないといわれています。
アパレル業界でリサイクルが進まない理由
アパレル業界でリサイクル率が低い原因はいったい何でしょうか。原因は3つあるといわれています。アパレル業界でリサイクルが進まない背景なども含めて詳しく解説します。
回収時の汚れ、ごみの混入
衣類を回収する際、汚れやごみの混入が目立ちます。汚れやごみが混入されている衣類はリサイクルが困難だといわれています。
古着の増加
ファストファッションの流行が影響を与え、人々が購入する服の数が従来と比較して2倍以上にも増えています。また、流行が過ぎ去った服はすぐに処分されるといった光景が多く見受けられます。これによって、行き場のない古着たちが増え、衣類の循環が滞っています。この問題を解決しなければ、リサイクル率を上げることが難しいといわれています。
混紡素材の増加
混紡素材とは、異なる二つ以上の糸や繊維を紡いだ素材を指します。具体例としてコットン95%、ポリウレタン5%の素材が挙げられます。混紡をすることで二つの素材の良さを獲得することができます。しかし、混紡素材の衣類はリサイクルするには困難で、年々混紡素材の衣類が増加していることからリサイクル率が下がっています。
しかし近年では、混紡素材を分離する技術が発明され、リサイクルできる未来が期待されています。
衣服のリサイクルを意識したアパレル企業の増加
リサイクル率が低く、現状が深刻といわれているアパレル業界ですが、リサイクルを意識したアパレル企業が増加していることもまた事実です。その中でもUNIQLOやGU、ZARA、BRINGといったアパレル企業が進んで、リサイクルを意識した取り組みを行っています。
Smart Peopleによる世界最古のリサイクル
Smart peopleの革製品に使用される皮革は、食肉加工の工程で生まれた副産物です。本来ならば、捨てられてしまうかもしれない素材をリサイクルし、愛用できるアイテムに生まれ変わらせます。動物素材を余すことなく使う生活は、狩猟時代に行われていた最古のリサイクルに通じるものがあります。
UNIQLO・GUはリサイクルボックスを設置
UNIQLO・GUは店舗にリサイクル用のボックスを設置し、いらなくなった衣服の回収を行っています。UNIQLO・GUで販売した全商品が対象です。
回収された衣服は難民キャンプや被災地への緊急災害支援など、世界中の服を必要としている方たちに届けています。また、燃料やリサイクル素材としても活用しており、服のチカラを活かしきる取り組みを行っています。
ZARAによるいらなくなった衣服をリサイクルする取り組み
ZARAではいらなくなった衣服を回収し、地元の非営利団体を支援するために寄付を行っています。衣料の寿命を伸ばすことに加え、地元の組織との協力を通じてコミュニティにプラスの影響を与えることを目標に活動しています。また、より多くの生地をリサイクルするための研究にも力を入れています。
BRINGによる服から服を作るリサイクルの取り組み
BRINGでは古着の回収を行い、その一部を再度服の原料までケミカルリサイクルしています。店頭での回収はもちろん、お家でも古着の回収が行えるため簡単です。(オンラインストアで製品を購入すると、服の回収封筒がついてきます。不要になった古着を封筒に入れ返送します。)
またポリエステル繊維から再生ポリエステルを作る技術を開発し、資源の削減に貢献しています。
今後のアパレル業界のリサイクル
いらなくなった衣類をリサイクルする取り組みが増えているものの、まだ現状は深刻だといえます。しかし、最近は技術の進歩によってリサイクル率が増えてくる未来は見えてきているのも事実です。
技術の進歩を頼るのではなく私たちも何か行動できるのか考える必要があります。私たちが行うなうことができる取り組みに、リユースとリデュースが挙げられます。
私たちが取り組む、リユースとリデュース
リサイクルと似たような言葉に「リユース」と「リデュース」があります。「リユース」はそのままの形で再度利用することを指します。また「リデュース」はごみの量をできるだけ減らしていくことを指します。
衣服をリサイクルすることは難しいですが、リユースとリデュースは私たちでも取り組むことが可能です。リユースであれば、いらなくなった衣類を買取業者に買い取ってもらうといった取り組みが当てはまります。リデュースであれば、本当に着たい服を永く扱う取り組みが当てはまります。
リサイクルに出す、いらなくなった衣服・古着の選び方
実際に着なくなった衣服や古着をリサイクルに出そうと思い立っても、なかなか衣服選びに迷う方が多いのではないでしょうか。自分の手から手放すにも勇気や労力が必要です。そこでリサイクルに出す衣服の基準を紹介します。
サイズが合わない衣服・古着
サイズが合ってない衣類・古着はリサイクルに出すのがおすすめです。サイズが合っていないと、窮屈に見えたりするため潔くリサイクルに出しましょう。
「痩せたら着る」という考え方は危険です。痩せたら痩せたでまた新しい服が欲しくなりますし、トレンドが変わっている場合があります。「痩せたら新しい服を買おう」という意識でダイエットを行うと、モチベーションも上がるのではないでしょうか。
着なくなってしまった衣服・古着
皆さんのご家庭にも着なくなってしまった衣服が多くあるのではないでしょうか。なかなか手放すのに抵抗があると思いますが、着なくなってしまった服たちは潔くリサイクルに出しましょう。
まとめ
アパレル業界引き起こす環境問題の原因の一つに、いらなくなった・未使用の衣服の大量廃棄が挙げられます。この問題解決のためにも企業だけでなく、私たち1人1人のリサイクルを意識した行動が重要です。つくる側もつかう側も責任があるということです。地球の未来や限りある資源を守るために、持続可能な社会を作りあげましょう。
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