2021年04月22日

エシカルファッションとは?労働者と環境を守る取り組みについてご紹介します

アパレル業界において環境問題の改善に目を向けられています。環境にやさしい素材や再利用ができる点だけでなく、労働者に対する配慮も求められています。

そこで今回は、環境や労働者を配慮した「エシカルファッション」に関して取り上げていきたいと思います。

エシカルファッションの意味

近年、ファッション業界で「エシカルファッション」という言葉が話題になっています。
エシカルファッションとは、直訳すると「倫理的・道徳的なファッション」という意味を持ち、言い換えると「人や環境にやさしいファッション」と表現されます。

エシカルファッションへの関心が高まった理由

バングラデシュの商業施設で起きた「ラナプラザの悲劇」と呼ばれる事件。
エシカルファッションに興味がある方は聞いたことがあるかもしれません。
事件の内容としては、下請け工場が数多く存在するビルが崩壊し、多大な犠牲者を出してしまった、というものです。
では、なぜこの事故が問題視されるのか。その理由は犠牲者が多かったからだけではありません。その事故によって、劣悪な労働環境の事実が顕在化されたからです。
そういった労働環境の問題を少しでも改善するため、環境や労働者に配慮した取り組みを行う「エシカルファッション」に関心が集まったのでしょう。

エシカルファッションの基準

エシカルファッションの基準は、日本のエシカルファッション推進団体であるエシカルファッションジャパン(ETHICAL FASHION JAPAN)により、9つ提案されています。

①フェアトレード(対等なパートナーシップに基づいた取引で、不当な労動と搾取をなくす))
②オーガニック(有機栽培で生産された素材を使っている)
③アップサイクル&リクレイム(アップサイクル=捨てられるはずだったものを活用する、リクレイム=デッドストックの素材や在庫商品などを回収して利用する)
④サステナブル・マテリアル(環境負荷が少ない素材を利用する)
⑤クラフトマンシップ(伝統的な技術を取り入れている)
⑥ローカルメイド(地域産業や産地を活性化させ、技術の向上を目指す)
⑦アニマルフレンドリー(動物の権利・福祉に配慮する)
⑧ウェイストレス(ライフサイクル各段階の無駄を削減する)
⑨ソーシャル・プロジェクト(NPO/NGOへの寄付や支援など社会貢献に対する取り組み)

エシカルファッションの基準は主に人や環境、社会を考慮した取り組みになっています。
このような基準を遵守したエシカルファッションを利用することで、環境を考慮し持続可能な社会の維持が可能になるでしょう。

エシカルファッションの素材

エシカルファッションには、環境を考慮した素材が使用されています。
一般的には、オーガニックコットンやリサイクル繊維などがよく知られています。オーガニックコットンは、見た目は他のコットンと変わりません。
しかし、オーガニックコットンには農薬や化学肥料の使用を抑えて生産されており、環境や人々に与える悪い影響を防いでくれます。
また、ペットボトルから生産したポリエステル繊維などのリサイクル繊維も、エシカルファッションに使用されています。
他にも麻やバイオ由来の化学繊維、植物の内部にある靭皮繊維など、エシカルファッションには植物の自然素材からリサイクル繊維も使用されています。

エシカルファッションの取り組み

最近では、エシカルファッションの取り組みを様々な企業が行っています。
企業が行う取り組みには、「地球にやさしい素材の使用」や「適切な労働環境での生産」など多岐にわたります。

「ユニクロの”エシカル”で”サステナブル”な取り組み」

ユニクロは、エシカルな消費を通じてサステナブルな社会の実現を目指しています。
また、服のビジネスを通じて、社会課題の解決を目指すなど貧困層や社会的弱者の支援につながる活動も展開しています。例えば、その取り組みの一つに「全商品リサイクル活動」と呼ばれるものがあります。不要になった服をリユースとして活用し、世界中の服を必要としている人たちに届け、リユースされなかった服は燃料やリサイクル素材として活用するといった取り組みです。他にもジーンズを作る際に使う水の量を減らすことや、バングラデシュでオリジナルブランドを展開し、快適な労働環境の創造や繊維産業の発展に貢献などの活動も行っています。

「パタゴニアが考える未来の労働環境」

アウトドアブランドのパタゴニアは、以前から労働者や環境を考慮した活動を行ってきました。パタゴニアはペットボトルを活用したポリエステル素材を使用し、加えて100%のオーガニックコットンを使用するなどの取り組みを行っています。さらに、労働者の健康や生活を配慮したサプライチェーンの構築もするなど、環境問題とともに快適な労働環境も考えた活動をしています。

エシカルファッションが抱える問題点

エシカルファッションには必要とされる背景があり、様々な企業も取り組んでいます。エシカルファッションには、環境問題の現状を良くする手段の一つにはなりますが、問題点と呼ばれる部分も存在します。

全体的に高価格になってしまう

エシカルファッションは素材や生産過程で、手間や費用がかかってしまいます。例えば、オーガニックコットンを使用するのであれば、生産の経済規模から収穫効率が低下してしまいます。そのような影響からエシカルファッションは比較的に高価格になってしまう傾向にあります。

デザインに依存する可能性がある

エシカルファッションが人や環境にやさしいと言われていても、ファッションはデザインが魅力的でなければ売れない傾向にあります。つまり、優れた商品を提供しなければビジネスとして売れなくなってしまうということです。さらに、エシカルファッションは高価格な傾向にあります。そのため、エシカルファッションが消費者に選ばれるため、デザインに依存してしまう可能性があります。

まとめ

エシカルファッションは環境にやさしく、持続可能な社会の実現にも繋がります。
一つひとつの製品を生産し、リユース・リサイクルを実現することで、環境問題の解決に一歩近づきます。労働者の環境に目を向けることで、素材や作り方に配慮されたエシカルな製品を選ぶことができるでしょう。
エシカルファッションがスタンダードになることで、世界中のアパレル業界の労働環境の改善や持続可能な社会の実現につながるはずです。

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