いくら時代がNET社会へ移行しようとも、
古き良きものは残るものだ。
電子書籍が増え、本屋が街から姿を消し始めた時は 心底焦ったが、
それでも本は 消えなかった。
編集者という肩書を持つ俺は、
文庫本にこだわりを持っている。
あの小さな本の中に込められる
作者の意図した繊細な心理、
現実と違わぬ息遣い、
めくるめく物語が
なんとも美しい…。
俺の本好きは、小学生の頃に読んだ『ハリーポッター』が
原点なんだ。
あの頃から、一体何冊の本を読んできたのだろう。
ある日、自分の読書時間を特別なものにしようと考えた俺は、
革のブックカバーを買った。
これなら電車の中でもカフェでも落ち着いて本が読める。
革は時間を刻む、ある種の『記憶』を持つ媒体。
俺が文庫本を読めば読むほど、
この革はシワと深みを増していく。
俺と一緒に年をとっていくわけだ。
いつか このブックカバーを見て、
俺は知るだろう。
自分がどれだけの物語とともに
スマートライフな時間を味わってきたのか。